『草の上の昼食』(仏: Le Déjeuner sur l'herbe、英: Picnic on the Grass)1959
ジャン・ルノワール晩年の作品。
主人公は人工授精を研究する大学教授エチエンヌ・アレクシ(ポール・ムーリッス)。人工授精で優秀な人間を増やすべきだ。欲情に駆られてのSEXには反対。
彼に憧れる田舎娘ネネット(カトリーヌ・ルーベル)は働かない兄とひたすら家事育児に追われている兄嫁をみて「子供は欲しいがダメな夫は要らない」と考えてアレクシ教授に実験台として応募するが家政婦としてならと、採用される。
アレクシ教授と婚約者ドイツ人のガールスカウト会長マリーがピクニックを行うことになる。
このガールスカウト会長が軍服によく似た制服を着て隊員たちを統率する様子はナチスに似ている。
草の上にテーブルと椅子を置くが地面が柔らかくて椅子は倒れてマリーは座れない。何かが始まる予感。人間の計画に対する自然の反逆?
ヤギを連れた老人ガスパールが笛を吹くと大風が吹いてピクニックはめちゃくちゃになる。
マリーや他の客はほうほうの体で退却。取り残されたアレクシ教授は水浴びするネネットの裸体を見て、つい、、、
ヤギを連れた笛を吹くガスパールは牧羊神パン、ファウヌスの化身だろう。
人為的な計画であるべき姿を目指す教授に対して今のままの人生を楽しもうとするディオニソス的価値観が勝利する喜劇。
ディズニーの長編アニメ『ファンタジア』の中の『田園』の世界を思い出しました。のんびりほっこりした喜劇だけど哲学的。