あまのかぐや

愛と誠のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

愛と誠(2012年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「ラ・ラ・ランド」鑑賞後「魂を震わせるエンターテインメントの力ってスバラシイ!」と熱く語った後に見る作品としては、いかがなものかと思いましたが、以前から気になってた「愛と誠」レンタルで鑑賞しました。

梶原一騎の原作漫画も、妻夫木くんにも武井咲ちゃんにも思い入れはないが、挿入歌すべて「コレコレコレ!知ってるー」と思えちゃう、あるものはフルコーラス歌えちゃうというこの世代です。

配役も微妙なら、歌も微妙。
ミュージカルと言ってしまってよいのでしょうか、これって(笑)

「歌謡ショウ的な!」「昭和バラエティ的な!」昭和って時代を今振り返ると、こういう感じー。こそばゆい歌詞を恥ずかしい歌唱に乗せてお送りします、ってとこでしょうか。

みんながお茶の間のテレビの前に集い、老いも若きも男も女もヒット曲を口ずさめたあの時代。

ママさんが、酔っ払いの書いたメモをみながら曲番号押して曲セットしてくれるようなカラオケパブでは、みんなで同じ歌を唱和できたあの時代ですよ奥さん!閉店間際、締めは皆さん一緒にC&Aの「YahYahYah」で決まりっすよ!

「えーこの歌知らないー」って、人の歌なんか聞かずにボカロとかうたいてさんとか自分の選曲に専念し、挙句一人カラオケで満たされちゃう世代には決してわかるまい。

いきなりオープニングはアニメ(「え?え?間違って借りちゃった?」)キル・ビル風な感じもあり、またカゲ番の過去を説明する劇中劇のような演出も、チープかつ濃くて、たまらなくわたしの琴線にびんびんきます。三池さんは次々と度肝を抜いてくれて気持ちいいなぁ。

大人になった誠役の妻夫木くん(こども時代は加藤清史郎くん。かわいい。)新宿の目を模したセットを前に、もったいつけつつ「やめろといわれても」と語りだしたあたりから「キタキタキタ――(゜∀゜)――!!」的にテンションあがって、最後ぶほぉっって噴き出した西城秀樹の「激しい恋」。昭和版の「ウェストサイドストーリー」を思わせる不良少年たちが歌い踊り・・・。

武井咲ちゃんの、罰ゲームのような「あの素晴らしい愛をもう一度」。二度と見たくないような恥ずかしさがかえって愛おしくもあり。姫カットと、棒読みセリフがこんなに似合う子だったとは。

絶対高校生にみえない病気にかかってしまった極悪不良チームのボス、蔵王権太役の伊原剛志さんが歌い踊る「オオカミ少年ケン」もそうなんですけど、なぜかフルフルにフルコーラス歌うんですよね。「もういいから!」「わかったから!赦したげて!」って涙流しながら爆笑してしまう。たたみかけるようなしつこいギャグが大好物なわたしとしては、思いっきりツボにはまるんですが。これダメな人は徹底してダメだろうな。

特筆ものは大野いとちゃんの「夢は夜ひらく」。もう事故レベルの素人臭ぷんぷんの下手くそさでフルコーラス聞かされるし、あの薄いビジュアルですらもホラー並みにしつこい。

(実際、ちゃんと歌として成立してるのは早乙女愛の両親ぐらいです)そして「なぜにここでこの歌くる?」という展開だし。

振り切れたキモさ満載の、秀才・岩清水ヒロシ役は、今をときめくセクシー俳優、斎藤工。傍からは「サンシャイン」同様、黒い歴史と言われそうですけど、本人けっこう楽しそうなので、またこういうエグい役やってほしい。昭和のヤンキーを切なく演じた安藤サクラの振り切れた怪演などなど、脇の配役も見所です。ちゃんと歌うよ!



そして、単に昭和歌謡をBGMとした映像ではこの可笑しさは感じられないんじゃないかな、と思いました。。「ここで彼に!」「この歌を!」なんですね。
ただならぬチープ感、ギラギラ感、かっこ悪いようないいような微妙さを醸し出す、決して歌がうまいとは言えない、演技派役者たちの恥部をこれでもかとさらけ出す。三池さんのSっぷりが楽しめます。

いや、しかしレンタルでよかった(笑)
わたしは結構楽しんで観ちゃったけど、家族は(案の定)途中でリタイア。劇場で観ていたら、涙流して笑ってるわたし、周囲の温度と空気が微妙でハラハラしそうな気がします。
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