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仄暗い水の底からのcinemakinoriのレビュー・感想・評価

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
3.9






“私がママよ、、、”









陰陽師・橋本京明氏
降魔師・阿部吉宏氏

この辺りの面々に興味や関心が有ると、この作品の見方がエラく変わる気がする。


単なるJホラーという括りで観たら、恐らく【リング】や【呪怨】のサブイボ感の方が段違い。
ただ、本作は前述のお二方の活動動画などを真面目に観てたりしていると、妙にあの世とこの世の切ない物語として受け止めることが出来、全く恐さすら感じなくなるから不思議。

逆にかなりリアルな霊現象や霊障として捉える事が出来るので、本作未見の方は、先ずは前述お二人の活動動画(YouTube)を検索し、あの世とこの世の感性をスリスリと磨いてから観ると予想以上に楽しめるんじゃないでしょうか。



タイトルからもわかるように、本作は水に因んだ怨念がメインテーマ。
ただ、そこに幾つかの社会問題だったり、普遍的な“母子”の潜在的な繋がりや愛、現世と霊界の可視化を重ね、ある家族(親子)の物語を追う事で訴えるメッセージが強く込められているから一層も二層も面白くなっている。


流石は【リング】【らせん】の鈴木光司作品といったところ。


所謂、
ジャンプスケア的な恐さはほぼない。

終始じめ〜っとした淀み(澱み)や、無機質で徹底的に殺風景なコンクリマンション、徐々に拡がる天井のシミ、謎に不気味な幼稚園、そして圧倒的に頼りなさそうな華奢で幸の薄さを熱演している黒木瞳。

もうこれだけで素材は充分。


あとはあの世とこの世の研ぎ澄まされた感性を磨いて臨めば、大なり小なりの観応えを感じる事請け合い!!



個人的には結構好きなJホラー作品のうちの一つ。
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