atoma

仄暗い水の底からのatomaのレビュー・感想・評価

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
4.5
アマプラで観た『残穢―住んではいけない部屋―』があまり怖くなかったので、口直し的に続けて観たのだが、やっぱり怖い。Jホラー黄金時代のテンションを堪能できる一作。

原作、監督、撮影は「リング」と同じ座組み、林淳一郎は黒沢清とも長年組んでいた撮影監督で、その力なのだろうか、カメラワークとカット割りだけで不気味。

本作は、メインモチーフである水に関連したホラー演出がアイデア豊富で、それ以外にも…
古いマンション、怖いよね。
エレベーターの監視カメラ、ホラーの定番だけど、リアルタイムで見えてるのに介入できないって怖いよね。
レインコートと赤いバッグ、もちろん怖いよね。
貯水槽、定期的に死体が発見されてニュースになるよね。セシル・ホテル事件のとき、本作との類似性が話題になったらしいね。
母娘の絆、美味しいよね。
といった感じで意外さは無くも、退屈しない。中盤以降は、音の使い方なんかもどんどん全開になって、そのテンションのままクライマックスに雪崩れ込む。最高。
一方、十年後の後日談シーンは哀しく美しいものの、あんなに長くなくてよいような気がした。

離婚調停中の不安定な母親・淑美を演じた黒木瞳は当然のこと、その娘・郁子役の菅野莉央が名演。母を目の前で奪われる(NTR?)エレベーター前のクライマックスシーンは、エロティックですらある。(24/5/11)
atoma

atoma