Kitty

仄暗い水の底からのKittyのネタバレレビュー・内容・結末

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

恐らく高校生か中学生以来となる5-10年ぶりの視聴。最後に視聴したときは地味なホラーだな、ダークウォーターの方が好きだなとか思っていたけれど、多少成長を経た今見るとなかなかどうして面白い。
内容に関して言えば、理不尽怨念もの。そこに加えてことなかれ主義とイヤミ夫と爽やか弁護士の人間関係の板挟み。終始ジメジメした話。
演出に関して、やはり特筆すべきは水だろう。美津子が水属性なので、雨漏りがベッドに近づいたり、水溜まりが美津子のバミリだったりは間接的に幽霊を描いていて面白い。あと、雨や屋上や地面の水濡れなど、常にジメジメした湿度の高い印象が画面から感じられる。
やはりベースは小中理論だが、幽霊ナメとか所々セオリーを外れた演出も見られて面白かった。下手すればリングより小中理論を実践する機会が多かった気がする。やはり不安を煽られる
怪奇現象の積み重ねや周囲の人間によって追い詰められていく、黒木瞳の演技がとても良い。段階をおってストレスが溜まっていく様子がハッキリと分かる。だから爆発してしまうことに説得力があった。あまり黒木瞳さん自体のイメージが無かったのでとても興味深かった。
クライマックスとオチに関しては、淑美が郁子を守るための行為で、単なる自己犠牲でなく母親としての強さと決意の表れということを黒木瞳さんの様子から感じた。エピローグに関しては淑美が罪悪感を感じ、共にいられない境遇に哀しみを覚えつつ、多くを語らずそれでも娘を美津子から守っているという、やはり母親としての強さを感じ、少し哀しくなった。
改めて見ると、ゴミ人間ばかりでイラつくし、リングや呪怨に比べればショックシーンの恐怖度で劣るかもしれないが、ショックに至るまでの過程(積み上げ)の丁寧さや黒木瞳の演技力もあり、母娘モノとしてもJホラーとしても秀作という印象を受けた。
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