【第34回セザール賞 助演女優賞ノミネート】
仏アカデミー賞であるセザール賞で祖母を演じたエディット・スコブが助演女優賞にノミネート、全米・LA・NYの批評家協会賞外国語映画賞を受賞している。
エディット・スコブ、あの怪作『顔のない眼』の主演女優なのね…!出演時間は僅かながら、溢れ出るカリスマ性があってとても魅力的。
オリヴィエ・アサイヤスは『パーソナル・ショッパー』以来偏愛していて、本作もその期待が裏切られることはなかった。
本当になんてことない、何の事件も起こらない話なんだけど、こんなにも惹かれるのは何故だろう。
『パーソナル・ショッパー』にも通じるような、人のいなくなった屋敷がまるでそれ自体が生命を持っているような、また亡くなった人の魂がそこにまだいるような気がする。アサイヤスは魂の不滅をこそ描きたかったのではないか。
リアリズムな動くカメラと美しいショット、ジュリエット・ビノシュをはじめとする極上の演技、どれをとってもセンスがよくてうっとりする。
亡くなった人の魂はきっとこの世に残り続けて、善き人には思いもよらないいいことが起こる。そんなことをきっとアサイヤスは信じているのではないだろうか。
何も起こらないと言えばそうなんだけど、もっと大きなことを語っているような作品でとても愛おしい。大好きな作品。