ションダー

台湾人生のションダーのレビュー・感想・評価

台湾人生(2008年製作の映画)
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台湾の日本語世代(日本統治時代の出身者)5人にインタビューしたドキュメンタリー作品。

日本統治時代には、「ちゃんころ(中国人に対する蔑称)」と呼ばれ、同胞だと思っていた国民党には裏切れたと語るシーンは、『悲情城市』のはじめのシーンの「台湾人は哀れだ、日本人の次は中国人。食われて、踏まれて、すてられる」というセリフを思い出させた。

そして5人は日本人であったことに誇りを感じ、自らを日本人であるとしつつも、日本統治時代に戦っていた敵国、中華民国の国籍になること、戦後賠償をしてくれない日本政府に対して激しい怒り、失望を口にし、歴史に翻弄された台湾人の日本への愛憎を語っている。

日本統治時代を経験している方がどんどん亡くなられている中、彼らのオーラルヒストリーをまとめた貴重な作品で、私自身も日本統治時代経験者の話を直接伺いたいと思った。

一方で当時、台湾で日本語で教育が受けられた人々は少数派であったことを忘れてはないならない。作品でも家を手伝うために途中で学校に行かなくなった女性が出てくる。日本統治時代の台湾を語る人々は日本語を話せて、日本語で教育を受けた人々が中心で、その外にいた人々の歴史はなかなか語られることがなかなかない。そのため作品を見る際には、そのような人々がいたことも頭に片隅に入れておく必要があるのではないだろうか。
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