櫻イミト

ケスの櫻イミトのレビュー・感想・評価

ケス(1969年製作の映画)
3.0
ケン・ローチ監督の長編第一作。イギリス・ヨークシャーの寂れた炭鉱町を舞台に鷹を育てる少年の姿を描く。

15歳の少年ビリーは朝晩の新聞配達をして家計を助けている。父親はなく、母親と炭鉱夫で腹違いの兄と暮らしている。学校ではいじめられたり教師から体罰を受けたりと面白くない日々だったが、ある日、鷹の巣を見つけてヒナを手に入れる。ケスと名付けて夢中になって訓練する日々が始まった。。。

後のローチ監督作品につながる労働者階級の世知辛い姿を、少年を主人公にさりげなく描いている。社会的テーマの訴求は控えめで、描写は時にユーモラス。少年の自覚なき自由への憧れを、自由な存在である鷹に象徴させている。なので最後は悲しく、心の持っていきように困る。ハッピーエンドを望むわけではないが、せめて一抹の救いが欲しかった。
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