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地獄の掟に明日はないのbluetokyoのレビュー・感想・評価

地獄の掟に明日はない(1966年製作の映画)
2.9
降旗康男監督の初期の映画だ。
長崎の競艇場に山崎組がいる。権藤組を見張っている。そのとき、権藤組の殺し屋に健太が殺される。
報復のため滝田は、権藤組を狙撃する。その帰りに眩暈がして車である女性にぶつかってしまう。怪我はしていなかったが、その女性、由紀と知り合いになる。
一方、山崎組と権藤組の争いは激しくなる。
仲裁に郡司弁護士が登場。このままだと共倒れになるということで、山崎組と権藤組は組むことになる。
競艇場で八百長を仕組むことになる。組員の生活を守るためだ。
ところが選手が途中で心変わりして一位になってしまう。このやろう、はめやがったな! と権藤組は席を立ってしまう。
さっそくその選手を拉致してヤキを入れていると、滝田がやって来て選手を引き取ってしまった。その選手は由紀の弟だったのだ。
山崎組は、じゃあ、権藤組をどうにかしろ、と滝田に告げる。
滝田は権藤組の組長を待ち伏せして、「死んでもらいます」ということで殺してしまう。
これで収まったと思ったら、山崎組の組長が捕まってしまった。郡司弁護士が漁夫の利を得るために、共倒れを画策したのだ。
それを知った滝田は郡司弁護士の事務所に乗り込んで、郡司弁護士を殺す。
これでやっと終わり、滝田は由紀の待つ波止場へ向かう。その途中、新聞配達員に変装した殺し屋に殺される。そこで終わりである。
原爆を絡めたというのは面白かったが、どこまで効果的かわからない。
たとえば、原爆のために滝田は山崎組のやくざになったとしたら、原爆症の眩暈で由紀と知り合った。さらに権藤組、山崎組を共倒れさせ、悪徳弁護士を殺し、自分も殺されてしまった。
もし、由紀と出会わなかったら、そのまま、原爆症で入院だった。いや、その前に、そもそも、原爆症が由紀への想いに繋がっているのだ。どのみち、どこかで由紀、あるいは、由紀のような女性に出会うことになるだろう。
とすると、一番最初の原爆というところまで遡らなければならない。そこまで来るとゴジラ系ということになる。
新聞配達員にあえなく刺殺される破滅的な最期へ、どうしようもなく運命的に疾走していくのだ。
由紀の存在があまり強くないのはそのためなのだろうか。
なんとなく理屈、筋立てが先行してしまっているように思える。
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