このレビューはネタバレを含みます
砂漠の中にらくだと羊。どこまでも広い空。ゲルの丸い屋根。
砂嵐はやってくるし暮らしだって決して快適とも言えないのに、なぜかひどく羨ましく懐かしい。
そんなモンゴルに四世代で住む一家の、ささやかなエピソードを描いた良作。
タイトル通り、この映画の主役は『らくだ』なんですが、これがまた可愛いのなんのって。パッケージの写真、あれぬいぐるみじゃないんだぜ…!
らくだに対して『いつももぐもぐしている』とか『顔付きがなんだかいやらしい』とか『乗り心地が悪そう』というイメージしかなかったんだけど、見識を改めました。
つぶらな瞳に長いまつげ。どこの少女漫画だっていう顔立ち。特に子供らくだの可愛さは筆舌に尽くしがたい。
なのに母らくだは子らくだに見向きもしないのです。近くによると怒って唾を吐きかけるし、乳を飲もうとすると足ではねのけるありさま。
あきらめて帰る子供。去っていく母を見つめるつぶらな瞳。
らくだは愛情深い動物なのか、映画の中でも仲のいい親子の姿がよく出てきます。おかあさんの足をかじかじして怒られてる子らくだとか、超かわいいのな。
でも例の白らくだはいつもひとり。砂漠の中でぽつんと座ってるの。乳が飲めなくて弱ってるのか、元気がない。遠く母を見つめるつぶらな瞳。
最終的に『伝統的な音楽療法』とやらを施すことになるんですが、これが要するに『らくだの親子の前で馬頭琴を弾く』っていうだけ。
しかしものすごく気持ちのいいメロディと歌なので、確かに効いてもおかしくないなーと思わされます。
モンゴル一家のおかあさんがまた歌が上手い。
最後はほのぼのと幸せな気分に浸れること請け合いです。