晩餐会がメインかと思いきや、晩餐会に込められた想いを理解するための経緯の描写がメイン。
とはいえ晩餐会のシーンも大変にすばらしく、美しく創造性に富んだ料理の数々、それを作り上げる重労働、見ていて飽きない。
料理をするということ、それはバベットにとって、ただの仕事ではない。
人を喜ばせるという、生きる意味。
そのために身につけたたくさんの技術も知識も、お金がないと十分に使えない。
全身全霊をかけて、これが最後と命懸けのようなコース料理を振舞ったバベットの、そのあとの魂が抜けたような表情が印象的。
彼女にとっては一度無くなったに等しい命を、最後に姉妹のために捧げたかったのだと、そんなふうに感じた。