喜連川風連

アニマトリックスの喜連川風連のレビュー・感想・評価

アニマトリックス(2003年製作の映画)
4.2
日本が誇るStudio4℃やマッドハウスによる至高の作画を堪能。

「ファイナルフライトオブザオシリス」
マトリックスリローデッドの直前期の話。凄い金のかかった脱衣剣舞。ファイナルファンタジーで培ったCG技術を投入したらしい。

「セカンドルネッサンス」
この話だけでも見る価値がある。なぜコンピュータがマトリックスを作るに至ったのか。なぜ人間は機械との戦争に敗れたのか。その顛末を描く。曼荼羅のような背景で神のような見た目の機械代表が物語を語るシーンがとても美しい。

対機械との戦争において人間が絶望的状況に陥ったとき、薬を打ち自分を麻痺させた上で宗教にすがるシーンが好き。

全体として、マトリックスの誕生も人間の愚かさが招いた結果であることが示唆され、その人間の業の深さのあまり、ネオの勝利したマトリックスシリーズは果たして大団円だったのか?しばし考えてしまう。

「キッズストーリー」
アニメ版ピンポンと同じ方が作画担当。ラフな線画が勢いよく画面を駆け抜け、これぞ「疾走感」というような演出が画面いっぱいに広がる。フラクタルノイズのようなノイズを散りばめると画面に勢いが生まれ、勉強になった。

「プログラム」
和風SF。騎馬武者の斬り合いにより周りの竹林が次々と切られていくのがカッコいい。バレットタイムから刀の上に飛び乗り、会話をするシーンも思わず真似したくなる。剣の残像に真剣白刃取りの部分は月光仮面っぽさ。赤い空に夜の中、侍が城の屋根の上で斬り合うカッコ良さよ。

「ワールドレコード」
人類最速の男になるあまり、マトリックスプログラムの限界を超えそうになる話。設定が好き。

「ディテクティブストーリー」
ザイオンを信じられなかった男の話。白黒濃淡を全面に打ち出したオールドなテイストの画面構成とオールドファッションラバーボーイな主人公の思想がマッチしていてカッコいい。過去に埋もれていく男の美学。

「マトリキュレーテッド」
機械を懐柔し、仲間に取り込む人類の話。このシリーズで最も抽象度が高く難解。機械は何を捨て、何を得て、何を得られなかったんだろう。人間の道具として捨てられる機械の哀愁。
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