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アジアンタムブルーのにくのレビュー・感想・評価

アジアンタムブルー(2006年製作の映画)
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藤田明二『アジアンタム・ブルー』。アジアンタムは一度枯れだすと止まらない。人はただ見守ることしかできない。是即ち「アジアンタム・ブルー」。末期癌が判明した松下奈緒とその最期を看取る阿部寛の関係を喩えたつもりなんだろうが、この改善の余地なきメロドラマを最期まで看取った俺のがブルー。松下と阿部はニースを死出の山と定める。感傷に浸る二人には地元民との交流など初めから不要だ。「美しい背景」としてのニースがそこにあればいいのだ。「水溜り」に映るものしか撮ってこなかった写真家松下にとっての最大の水溜りとしてのニース。それが映し出すのは二人の「日本人」の醜い自意識だ。
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