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クイルズのmiiのレビュー・感想・評価

クイルズ(2000年製作の映画)
3.8
18世紀末フランス革命期の貴族で小説家であるマルキ・ド・サド。
「サディズム」とは 彼の名前から由来するという。
ナポレオン・ボナパルトの統治下においては
淫猥にして残酷な描写から禁書とされていたが
フランス政府は2017年に「国宝」と認定している。

貴族のギロチンで歓喜する民衆の場面から始まり
美徳の仮面を被った人間(マイケル・ケインの役どころでもある)が
心底欲している渇望とは···?というイントロダクション。

マルキ・ド・サドの自伝という側面と
弾圧されても止めない表現者としての影響力の大きさというものを知らしめられた作品であったように思う。

獄中でも執筆を続けて
羽ペンとインクを取り上げられても
ありとあらゆる方法で書こうとするサド(ジェフリー・ラッシュ)の執念。

表現の自由を奪ってはならないという事にも繋がるけれども
「ジョーカー」を模倣するような者も実際に出てきたわけだし
そういった危険性も孕んでいるとも。

彼の影響の大きさが じわりじわりと周りを蝕んでいき
汚れの知らない者ほど その毒気に侵されてしまうように見えた。
(2人の処女が出てくる)

これは 清廉潔白な神父(ホアキン・フェニックス)の変容でも見て取れるし
純粋無垢なシモーヌ(アメリア・ワーナー)にも。

マドレーヌ(ケイト・ウィンスレット)は純粋にサドの才能に魅了されて
彼の作品を世に出すために協力していたけれども
悪に染まらずに と言うよりも
性の素晴らしさを知らずにこの世を去ってしまった人物としても描かれていたようにも思う。

ジェフリー・ラッシュ好きと ホアキン・フェニックス好きなら観てほしい作品。
ラストのオチも なかなかブラックでした。

このような作品がDisney+にあるのが 意外!
mii

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