クリーム

クイルズのクリームのレビュー・感想・評価

クイルズ(2000年製作の映画)
4.0
これは、ジェフリー·ラッシュがとても魅力的で素敵。マルキ·ド·サド役には、もう彼しか考えられない。サド侯爵の晩年にスポットを当てた舞台劇の映画化。勿論、他のキャストも豪華で、ホアキンの神父も素晴らしかったです。

1794年パリ。 猥褻文書頒布の罪でナポレオン体制下に逮捕され シャラントンの精神病院に収容されたサド侯爵。 しかし彼の小説は、小間使いマドレーヌを 介して、その後もひそかに出版され続けていた。その作品たちは闇の出版物として市中に出回り、大人気に。政府は、拷問で有名な精神科医、コラール博士を サドの治療の為、収容所に送り込むのだった。



ネタバレ↓



牢獄の中で、どんな拷問にも屈せずに、インクや紙を取り上げられれば、鶏の骨とワインでシーツに小説を書き、それすら無くなれば、自分の血と鏡の破片で衣服に書いた。全てのモノを奪われたサドだったが、マドレーヌがここを出て行く事になり、最後に何か書いて欲しいと頼むと、他の患者達を使い、隣の部屋に伝達して行く方法で、マドレーヌに書き取りさせる事にした。患者達が伝達しているうち内容に影響され、放火魔の患者が火事を起こし、マドレーヌに興味があった大男が彼女を殺してしまった。神父は、愛するマドレーヌを必死に助けようとしたが間に合わ無かった。サドは拷問の据え神父により舌を切られた。その後、サドが便で壁中に小説を書いた。
そして、サドの死後、コラール博士は病院内に印刷所を作り、患者達にサドの本を作らせお金にしていた。
尼僧院からコラール博士が買い叩いた16歳の嫁シモーヌは、サドの本を気に入り影響を受け、設計士の愛人と逃げた。
1年後、気が触れた神父は、病院に収容され、かつてのサドの様に書く事に執着していた。その姿は、まるであのジョーカーの様だった。

結局、誰もサドの俗世的な猥褻小説に抗う事は出来ず魅了されたと言うお話。
サドが一番人間らしく、欲望に正直に生きていた。常識人で厳粛な人間に見せかけたコラール博士が一番気持ち悪い変態ジジイだったし、神父もマドレーヌへの気持ちを無理矢理抑え自分を追い詰める健全とは言えない行動で病んでいった。
人々は皆、サドの強烈な文章や危険で罪深い書物を切望した。人間は禁断に弱い生き物なのだ。面白かったです。
ホアキンにジョーカーの片鱗が見えました。
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