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夜顔のBaadのレビュー・感想・評価

夜顔(2006年製作の映画)
4.6
オリヴェイラの映画としては久しぶりにバランスよく分かりやすい映画。ただし、大人の映画ですし、びっくりするような展開もありません。

ブニュエルの『昼顔』がモチーフですが、題材への切り込み方はオリヴェイラの方が深いようです。ブニュエルはきわどい題材を扱っている割にはご本人の恋愛への許容度はとりたてて大きくはなさそうで、そのへんで若者にも受けるし安心してみていられるのだろうと思うのですが、オリヴェイラは懐が深いですね。この題材に関してはオリヴェイラの勝ち、かな。
ただ、オリヴェイラは作品によって分かりやすさの程度がえらく違うので、割と安定して安心してみられるブニュエルと違って、映画館に行くのは毎回賭けですね。今回は劇場で見て正解でした。

真剣勝負の愛というのは、場合によっては周囲に深い傷を残すこともあるわけで、その残骸の最後の燃えさしを描いたとしても、簡単に結論がでないのは当然と言えば当然。
ドヌーヴを使わなかったのも正解でしたし、なによりも、ミッシェル・ピコリが『家路』よりさらに増して魅力的だったのが嬉しかった。

(2008/4/17記)
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