eiganoTOKO

夜顔のeiganoTOKOのネタバレレビュー・内容・結末

夜顔(2006年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

いやいや個人情報とか!黙っててって言った5秒後に「今出ていかれましたよ」とかやめて!君らのサービス仕事の守秘義務とかどーなってんだい!とか余計なことに気を取られました。

ユッソンはセヴリーヌのこと、ジャンヌ・ダルクだと思ってたんかな。微笑みかけるダルク像。ま、性の「解放」という意味ではそうかも。

サディズム、マゾヒズム、良識とはなど、ネタバレしていく。
でも、それって知りたかったことじゃなくて、話されるとつまらないし、解釈が違うからちょいまちおじさん、と割り込んで話しかけたくなる。

店にいる娼婦を「彼女たちは天使。体は売っても誰も裏切らない」というバーテンダー。君は頭がいいとほめるユッソン。
その解釈はどうなの…だってブニュエルは宗教は批判してるし、昼顔では娼婦は労働として認めてる台詞が何度も入っていた。体を売る、という言い方はしてないよ。体を売るという言い方は、人身売買のときに使う言葉だよ。

でもユッソンて男の都合いいようにしか考えられないのは昼顔のときからだから、じいさんになっても変わんないね、呆れ、という点では筋が通ってる笑
でもそれ見せられても、うん知ってたとしか思わないし、昼顔でブニュエルが壊そうとしていた道徳をどうしてくれよう。あの清々しい規範からの解放と、自己嫌悪の入り混じったグレーの感情と、それでも鳴り響くエロティシズムの鈴の音に微笑んでしまう背徳感はどこへ。かなり乱暴な続編。
今の私は昔の私ではない、の台詞が言い訳としてむなしい。

聖人とされていたのは夫ピエール(というかユッソンはピエールと友人だったのになぜあなたのご主人なんて言いかたするの?おかしいよ)で、だからこそマゾヒズムに傾倒するのはわかりますが、その対象が亡くなった今、なぜ秘密を話したかどうかだけで長年消えていたマゾヒズムの灯がともる合図の鐘がなるのか…割と絵作りだけで逃げに走った印象。
そして女神のような存在はブニュエルが批判していたことなのに、最後に女神像をフォーカスするなんて、ユッソン目線なのか監督の陳腐な解釈なのかわからないけどすんごいがっかり。
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