けーてぃー

シークレット・サンシャインのけーてぃーのレビュー・感想・評価

4.8
恐ろしくヘビーな傑作
赦しと救済

見せ方演出脚本どれを取っても引き締まって薄味方向なのがかなり好み
非常に重層的で解釈の幅もあると思う
何よりキャラクター造形が素晴らしい まさにキャラクターが生きているといった、多面的な造形でリアリティがある
(最初は高飛車な主人公が徐々に"田舎”に馴染んでいったり、社長が色々とダサいのにどこか憎めない愛嬌があったり等々)

やはり中盤以降の宗教、特に作中で取り扱われるキリスト教への投げかけはかなり鋭利、シャープ
どこまで言及出来るか非常に難しいが、どうしても生じてしまう構造的な欠陥が浮き彫りになる
面会室で”仮初めの現実”が瓦解する瞬間、中盤やラスト間際の対面、派手な展開や場面ではないのに息もつけない緊迫感がある
それをささえたチョン・ドヨンは今更自分が言うまでもなく素晴らしい

そしてラスト、驚くべき事に髪を切っているだけで泣きそうになる
直接的な吐露はなかったと思うが、主人公に自責の念があったろう事を思うと自分を赦す方向に見えた
(ただしオープンエンディングであるとも思う)