せーや

THE WAVE ウェイヴのせーやのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
4.1
「民主主義に独裁は存在するのか?」

体育教師のベンガーは
水球顧問で無政府主義を教える
自由奔放で生徒に人気のある教師。
しかし、生徒の一週間の実習で
校長から独裁制を担当するよう要請される。

授業の一環として
独裁制の実験を取り入れたクラス。

いったいどのような独裁制が敷かれたのか?
ベンガーが定めた規律は、こうだ。

①教師には「様」をつける
②教師の許可なく喋らない
③発言があるときは挙手し起立する
④制服を着用する

「え?普通じゃんwww」

こう思う人は少なくないだろう。
そう。日本では全く当たり前のことなのだ。

ドイツは日本と同じように
真面目で、礼儀を重んじる国だ。
しかし、学校の制度は日本ほど厳しくはない。
だから、このような規律が非常なのだ。

日本で当たり前のことなのに
このクラスは暴走していく。
なぜなんだろうか?

このクラスは
そもそも自由だった。
それが急に、このように変わった。

生徒は急な変化に驚きながら
その「一体感」に魅了されたのだ。

日本ではこれが生まれてから当たり前であるがために
それに反抗しようとし、規律を嫌う。
それと逆のことが、このクラスで起きたのではないか。

自由だったクラスでは
それぞれに派閥があり、
すべてが個人の責任だった。
しかし全体で行動することを強いられることで
「居場所」が見つかったのだ。

居場所を正しいものととらえ
それ以外に所属するものを悪とする。
それが差別や暴力へと繋がっていく。

少し間違えば、
このようなクラスが
簡単に発生してしまう。

それがより大きな単位でも、同じことだろう。

ここまで暴走するかどうかはさておき
とても考えさせられる作品でした。

「独裁は、簡単に生まれる」
せーや

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