クリーム

THE WAVE ウェイヴのクリームのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
3.9
1967年にアメリカの高校で行われた社会学的な実験が元ネタの作品のドイツ映画です。舞台もドイツの高校になります。かなり脚色されていて、唐突な部分もありますが、興味深い実験結果で、多感な若者達を洗脳するのは、なんて簡単なのだろうと恐怖を覚えました。面白かったです。

高校で社会実験の授業が行われる事になり、水球部顧問のベンガーは、独裁をテーマにしたクラスを担当します。 コースを選択した生徒達は、あっという間に団結し、ベンガーを指導者として称える様になり、排他的な集団に変わって行っていまうのでした。



ネタバレ↓



初日にライナーが指導者となり「ベンガー様」と呼ぶ事、発言は許可を得てから起立して行う事が決まりました。
その後、生徒は自主的に「おはようございますベンガー様」と挨拶し、クラスの制服を白いシャツとジーンズに決めます。更にチーム名を「WAVE」とし、ロゴの作成、ホームページ迄自主的に作り、夜に数人の男子生徒らが街のあちこちにWAVEのロゴをスプレーして回ります。そして、独自の敬礼スタイルを作り、敬礼を他の生徒にも強要し始めます。 暴力行為が発生し、 ベンガーも妻に対して高圧的な態度を取ります。
おかしいと気付いたカロがベンガーに実習の中止を求めますが却下されます。そして、最初から拒絶気味だったモナと、2人でビラを作ったり反対運動をします。カロは、彼氏のマルコに実習を止める様に言うと揉み合いになり、マルコはカロを殴ってしまいます。マルコは、大好きなカロを殴った事で、目が覚めベンガーに実習の中止を求めます。
次の日、ベンガーは皆を集め集会で、
WAVEを存続するべきだと言うとマルコが反対、ベンガーはメンバーに彼をステージ上に連れてこさせ、「マルコを殺すか、拷問するのか」問いかけ、生徒達にこれが独裁の事実だと説明します。 ベンガーは、自分達が特別だと思い込む独裁の恐ろしさを生徒たちに実演で教えます。やり過ぎたと謝罪し、自分の責任だからとWAVEの終わりを告げます。
しかし、生徒達は継続を希望。ベンガーが生徒達に帰るよう指示するとティムが銃を取り出し、1人の生徒の肩を撃ちます。ベンガーが近づくとティムは銃を自らの口の中に入れて自殺します。 ベンガーは逮捕されました。

最初は、独裁等存在しないと思っている生徒が殆どだったが、集団意識で自分達を特別だと感じ始めた彼等は、結束し、過激化して行きます。正直、そんなに簡単?って思いましたが、多感な年頃の若者達に加え、指導者が教師と言うのも手伝って、ヒートアップして行きます。それが、教師の目の届かない所で広がって行くのは怖かったです。また、全員が洗脳された訳ではなく、面白いから乗っかってる生徒が多いのもリアリティがありました。あまりにも簡単な洗脳は恐怖でした。

※実話「サードウェイブ実験」では死傷者は出ていませんが、5日間の間に学生はすっかり洗脳されたそうです。
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