大道幸之丞

犬神家の一族の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

角川映画「メディアミックス戦略」第一弾の映画。「4Kデジタル修復版」も2021年に発表されてますが、私は日本の昔の名作に強いU-NEXT1976年版を観ましたが、これで充分でした。

遺産相続由来の殺人事件モノの先鞭をつけた作品。

まず原作が良いのでしょう、ストーリー構成が素晴らしい。事件が起こる舞台も丁寧に情景を押さえており、キャステングも名女優揃い。

発生する殺人がどれも奇異で普通ではない。引き込まれていくし、佐清のゴムマスクも奇妙で一族の間に独特の空気を醸成させることに一役買っている。途中まで犯人と思わせられてしまう猿蔵もいい。

そして本作の中心はやはり金田一耕助役の石坂浩二。「はまり役」との評判が高いこともうなずける。刑事コロンボのように風采が上がらないとぼけた人物に見えて、実は推理力抜群。物語の最後に事件の真相を一気に語り始める場面は白眉。

殺人の動機も合理性があり、大変に惹きつけられながら最後まで息が抜けない。まごうことなき傑作である。