ゆず塩

犬神家の一族のゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【感想】
面白かったー。
2023年のドラマ版を1ヶ月ほど前に見たので、そっちを思い出しつつ内容を比べながら見ました。

回想シーンは加工した映像表現になってたり、コマ撮りみたいなシーンがあったりと、色々な表現を試しているようで面白かった。おまけに、シーンとしっかり合致した表現になっていてよかったな。ドラマ版は、そうした感じは無かった……よね、たぶん。
音楽の使い方も、ドラムの音がしたり変わった音もして(何の音かわからん)、劇中の時代とミスマッチな音が面白かった。

演技は結構大袈裟な演技が多め。警察署の署長さん(?)とか、「よし、わかった!」と、手を叩いて前に突き出す……みたいなのをしょっちゅうやっててコミカル~。他のキャラクターも、大袈裟に感情を顔に出したり、セリフも分かりやすいこと言ったり。演劇っぽいかも、って思いました。でも、コミカルさとか大袈裟なやり取りが見やすい印象。犯人を考えるうえでも、色々な人が疑われて……誰が疑わしいかわかりやすい。梅子か竹子が警察に告げ口して白々しい演技をするのも可笑しくって笑ってしまう。
青沼菊乃がリンチされるシーンは映画もドラマも酷いとしか思えぬ……。
2023年ドラマ版は、重苦しさ増し増しの繊細な演技でしたかね。ドラマの方は3時間たっぷり時間があったから、丁寧に描いていた印象です。

あと、ホテルの女中さんが金田一の助手っぽくなるのは重苦しい中に笑いを生んで良い緩衝材だった。ドラマ版も、金田一の大家さん(?)とかがそんな感じだったかな。重い物語の中にも、そういうキャラクターいるといいよね。

『犬神家』は今作が一番好き、っていう人がいるのもなんかわかる気がしました。(私は2006年版とドラマ版しか見てないけど)。2006年版も久々にまた見たいな。


そもそもドラマと映画の『犬神家の一族』を見た理由は、2023年公開の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(通称:ゲ謎)がきっかけで。
今作、1976版『犬神家』を見ると「『ゲ謎』はこれにインスパイアされてたんだな」ってひしひしと感じました。
殺人を犯したのが犬神佐兵衛の思惑通り、という見せ方は『ゲ謎』に通じるものだし。犬神佐兵衛は、本当に生きちゃいないのにね。見せ方と伝え方が良かったな、『犬神家』。
『ゲ謎』のお寺とか、『犬神家』のお寺っぽいし。どこにでもあるお寺でしょうけど。
『ゲ謎』好きな人は、何が共通しているか気にして今作見るともっと楽しいでしょうー。
ゆず塩

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