Tully

犬神家の一族のTullyのネタバレレビュー・内容・結末

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

日本映画といえば 「ヤクザ映画」 か 「社会派映画」 みたいなものくらいしか見当たらない1970年代に、こんなに娯楽性にとんだ映画が作られたんで、たぶん日本中がびっくりしたんじゃないだろうか。この映画の金田一、とにかく暑苦しいくらいに事件の中を駆け抜ける。事件を懸命に追いかけて、あとからあとから解説していく。結局事件に追いつけない。懸命な分だけ、そこに見ている方はストレスを感じてしまう。ところがこの感じが、シリーズ化されていくと寅さんみたいな味になっていく。役者さんたちもみんな暑苦しいくらいにリアルに演じている。監督さんはこの映画の中に入り込んで演出してる感じだ。テンポはいいし、撮影なんかも実験的っぽい感じがいい。演出なんかも、映画では珍しい2人の人に一気に台詞を重ねて喋らせたりとか。なかなか面白い。初めての金田一、その人物像をまだ手探りで作り上げていく感じがとても気持ちが良い。これ以降どれだけの亜流の金田一が作られたことか。監督さんも、製作者も、役者さんたちも、スタッフたちも、全てが今までにない日本映画を目指して作ったんじゃないかと思わせてくれる。とっても熱気に溢れる。その熱気が日本映画に1つのジャンルを確立させた、今見てもとても力のあるそんな映画でした。
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