足を洗った元ギャングが、とある強盗から自衛をしたら町のヒーローになってしまい、過去の自分を取り巻くモノたちが平穏を壊していく。
我々が平和に生きられているのは、誰かの「暴力の後ろ盾」があるから。
平和だけを享受していて、その背後にある暴力の存在を認めず「争いはいけないこと」と主張することはどうなのか。
トムに撃退された強盗が、顎から下が割れ血液が吹き出している凄惨なシーンは、映さなくても物語は成立するのに、監督はわざわざ映した。
たとえ正義であれ、それが暴力による解決だということを明らかにするため、映す必要があったのだろう。
ラストシーン、暴力の象徴であるトムを、妻は(観客は)受け入れられたのだろうか?
96分という短さの中で重苦しさを味わえる。好き。
……それはそれとして、夫との夜の生活で嫁がチアガールコスプレで旦那を誘惑するシーンは必要なのだろうか?