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パリのランデブーの一人旅のレビュー・感想・評価

パリのランデブー(1994年製作の映画)
3.0
エリック・ロメール監督作。

パリを舞台に、3組の男女が織りなす恋模様を描いたドラマ。

ヌーヴェルヴァーグの代表的人物の一人、エリック・ロメール監督による恋愛心理ドラマで、若い男女の恋の模様を3つのエピソードによるオムニバス形式で描く。『モード家の一夜』などの「六つの教訓話」シリーズ、『春のソナタ』『夏物語』などの「四季の物語」シリーズ、ロメール作品の中では最も人気の高い『緑の光線』『海辺のポーリーヌ』を含む『喜劇と格言劇』シリーズ。本作はそれらのシリーズには属さない、“独立系”長編劇映画という位置づけ。

各エピソードにはタイトルが付けられていて...
第一話『7時のランデブー』
女子大生・エステルが大好きな彼氏の浮気を疑うお話。なんてことのないお話なのだが、偶然が偶然を呼ぶ展開はロメールらしい映画マジック。偶然の引き合わせにより、エステル&彼氏&彼氏の浮気相手が同時に遭遇する場面がユーモラス。個人的には、このエピソードが一番洒落てる。

第二話『パリのベンチ』
同棲中の恋人がいながら、新しい彼氏とデートを重ねる若い女性のお話。ロケ地はパリの公園や墓地。公園デート&会話劇が中心のエピソードで、女性の繊細(自分勝手?)な恋愛心理が描かれる。終盤、女性が新彼氏に言い放つ一言はなかなかの手厳しさ。エピソードの中身よりも、パリの公園風景が気になる作品。

第三話『母と子 1907』
ピカソ美術館で出会った青年画家と美しい若妻の短い交流を描いた作品。「私にとっての男は夫だけ」と断言する若妻。だからこそ、知らない男とも安心して会話できる、らしい。青年画家の絵を見たくなった若妻は、彼のアトリエを訪ねる。密室で、男と女、二人きり。だが、何も起きない。何も起きずにさらっと別れの時間がくる。儚く、切なさが残る一品。
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