2023年の大映映画祭にて鑑賞。人生ではおそらく3回目の鑑賞となる。
役者を画面の中央に収めようとする努力に惜しみがなく、結果として見やすい画面が続いてありがたい。一方で、仲代達矢を収めるショットでダッチアングルを2回ほど用いているのは、体躯の歪んだ演技をしているからだろうか。
特筆すべきは、2, 3回見られた、市川雷蔵を中心に据えたまま背景だけが切り替わって回想へと至る演出の面白さだろう。過去の雷蔵の吃音や家庭事情のエピソードが、そのまま現在の時制に引き継がれて苦悩の原因となっていることを端的に示している。