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マペットのクリスマス・キャロルのRenのレビュー・感想・評価

4.0
そう!古典をデフォルメするってこういうことじゃない?面白いしマペットにハズレ無しですごく楽しめました。マイケル・ケインのスクルージもいいね!

今作の改変成功ポイントは主に、「人間×マペット」「ミュージカル」「メタ視点」かな。
スクルージを人間が演じ、町の人をマペットが演じることで、彼が虐げられている人物であることが直感的にも分かる構造。さらにその町民をいっぱい出すことで “市井の人々“ の存在を大勢感じられて視野が広がっている感じも好きでした。
きっちりミュージカルにすることで生まれる教育番組感。家族で楽しく観ることをちゃんと念頭に入れて作られている感じ。
そしてマペットと言えばの語り手の配置・メタ視点/メタ発言も冴えていました。シリアスにしなさすぎず、それでもギャグで惹き続けるサービス精神が好きです。めっちゃフザけるんだけど、本筋は邪魔しないのも上手さだよね。本も読んでね!の締めくくりは、メタギャグでありながら媒体の垣根を越えたカルチャーへの愛も感じます。
そしてやっぱりティミーの場面は分かっていても心にくる....。未来の場面では雨が降り色彩も消え語り手も退場する不穏な演出も抜かりない。

たっくさん出てくるマペット達がいい仕事をしていて、スクルージがどう思われているのかが彼らのおかげでよりくっきり浮かんでくる。彼をを忌み嫌う人も多いぶん、ラストに彼が富を振り撒く人も多いので、終わりの気持ち良さが先日載せた『Disney’s クリスマス・キャロル』よりも強い!終盤の爽快なシーンに結構尺を取ってくれているのもその理由かな。マイケル・ケインの歌声も聴けて満足です。

私の推し、ネズミのリゾも相変わらずコメディリリーフとして活躍していて最高。もはや古典文学のことイジってない?と思ってしまうところもあって潔い。スクルージの嫌な役回りと、マペット達の非現実的存在感が生むフィクショナルさがお話の雰囲気とぴったりで、マペットは題材選びが上手いなと感心するばかりです。

過去に『マペットの宝島』のレビューも書いているのでそちらもよかったら!
https://filmarks.com/movies/40379/reviews/121747655
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