このレビューはネタバレを含みます
内容は歪でも整っている映画。
想像と現実が綺麗に混ざっている。
ゴア表現、ガタガタ迫るカメラ、耳に障る騒音。つんざく叫び声。
想像の内容も描写も生々しい。
今ここで手を離したら。悪意のある誰かが来たら。目に刺さってしまったら。
加えて主演のハマり方!
コトコさんの所在なげに力んだ眼差し、強張った唇、神経質そうな細い体軀。
田中さんの情けないふりした強かさ。
塚本晋也さんは毎度耳に粘つく声が見事だな。。
画面の美しいカットが多いです。
色彩も光も豊か。
特に家のキッチュさは印象的。
木琴の音も合わさって、コトコさんの子供っぽさに合っている。
舌足らずの話し方、保護者というより兄弟のような振る舞い等。
少女のまま母親になったような感じ。
心身の線が細いのに強気で凶暴さも持っているのが魅力的。
「おっさん!死ね」
「折角デートに誘ったんだから何かアピールすることないのか?」
田中さんの献身によってコトコさんの「世界が一つになった」時には心がギュッとした。
色鉛筆の綺麗なマルも良かった。
が、田中さんがふと消えてしまった時にほんの少し安心もした。だって胡散臭かったもの。
大丈夫ですのくだりは大好きだったのだけれど。。
大二郎さんが素直そうな明るい少年になっているのには希望を感じた。
窓のシーンにぐっとくる。
正直筋をうまく掴めなかったが、このラストだけでなんだか全部良かった気がしてくる。
感受性の高い人は相当疲れると思います。
その分貴重な体験でもある。
端正な良い映画でした。