YokoGoto

KOTOKOのYokoGotoのレビュー・感想・評価

KOTOKO(2011年製作の映画)
4.4
Coccoがすごすぎる!という噂は聞いていたが、本当にすごい。アカデミー賞主演女優賞クラスの演技。演技というかドキュメンタリー映画のような風合いもある。これは、Cocco以外には、どんな女優さんもはまらなかっただろうし、こんな演技はできないだろう。
冒頭から、心臓の鼓動が早くなるようなCoccoの表情が続く。全くもってホラー作品ではないのだが、そのへんのホラー映画よりも怖いし、張り詰めた空気に涙が出そうになる。
映像から漂う恐怖と感情の激しさ、静と動の切り替わりがゾッとする空気を醸し出す。音も怖かった。オドロオドロした映像ではないのに、静かな恐怖というのは、こういう画なんだろうな。
人の心が壊れていく様がテーマだが、どこか他人ごとには見えない。
誰もが持つ、健康な心の儚さと、壊れてしまうかも知れない恐怖は、常に隣り合わせなのだ。
人の心とは、まるで紙切れのようで、水につけたら溶けてしまい、突然、誰かに両手で破られてしまうこともある。しかし、透けて見えるほど薄い紙キレでも、両手で引っ張っても切れはしない。わずかなヒビから亀裂は入る、そんな塚本晋也監督作品だった。
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