モスマンは実在する

KOTOKOのモスマンは実在するのレビュー・感想・評価

KOTOKO(2011年製作の映画)
4.5
2018年春に鑑賞

Cocco氏の危うい精神世界VS塚本晋也!肉体的・精神的にとても痛々しく、血が出る。心と体の問題を徹底して描いた力作。「どんな悲惨な体験をしたらこんな映画を撮ろうと思えるのか」と疑問になってくる、平常運転の塚本晋也映画。

琴子 (Coccoさん)が淡々と語る心象風景と、それを優しく見つめる小説家の田中(塚本晋也)。田中は顔が変形するまで殴られても「大丈夫!大丈夫だから!」と逆に琴子をなだめていたが、ふと心の隙間ができた時間にいなくなってしまう。ここは、ああ、そうだよな、という感じで分かる。このような気持ちが落ち着いてきてからの微妙な「気持ちの揺らぎ」のようなものが描かれていた。そのような「気持ちの揺らぎ」で選んでしまった流れにより、息子との関係も決定的に変わってしまう。

琴子の実家として備瀬あたり(沖縄・美ら海水族館の近く)の景色。綺麗な風景だけは精神的な救いになったが、どうも沖縄の描写が定型的過ぎて気持ちが乗れない部分もあった。