垂直落下式サミング

燃える惑星 大宇宙基地の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

燃える惑星 大宇宙基地(1960年製作の映画)
3.5
ロケットや月面探査機の紹介からはじまりはじまり。「車輪とは人類最初の偉大な発明である」という説明に既視感があったんだけど、某ひろゆきが配信でおなじことを言ってるのをショート動画でみた気がする。丸っこいのの真ん中に軸があってくるくる回るのは、自然界にはない動きだとかなんとか。なるほどです。
映画の物語は、どうやら火星に降り立って人類の新たな入植地にするテラフォーミング計画がすすめられている近未来。火星に向けて飛び立ったソ連の宇宙ロケットが、航行の途中に救難信号を察知。他国のロケットの救助に向かうのだが、航海に支障をきたして別の星に不時着することになる…というもの。
東西冷戦中の作品でありながら、とても進歩的な内容。敵国の救難信号を受信した乗組員たちは、それを救いにいくことを躊躇わない。
核戦争後も人類は依然として戦争の脅威から解放されていないという設定であろうから、冷戦中と同様に宇宙開発を競っているはずだが、国家間がどうあれ個人の意思はその限りではないという可能性を意識させてくれる。
無情でありながら希望をみせるラストもなかなかいい。火星をどうこうしようとするまえに、あんたらは地球をなんとかしろよって、そういうことだろう。
宇宙生命体のデザインも、不格好にならないように余計なモノつけ過ぎてない洗練されたB級って感じで好きでした。にょろにょろでぎょろぎょろっ。
監督はコッポーラ!安い映画監督としても手腕が光る。僕がみたのはソ連映画をアメリカで再編集したやつってことか。本当のはなしはどうなってんのかな。