LEONkei

白と黒の恋人たちのLEONkeiのレビュー・感想・評価

白と黒の恋人たち(2001年製作の映画)
3.9
若き映画監督〝フランソワ〟と、恋人でもある女優の卵〝リュシー〟の物語。

『この映画を作る事で世界を救いたい…』
ドラッグによって悲劇的な末路をおった女性を題材とする映画は、〝フランソワ〟自身の過去の記憶を憂い呼び起こしながら撮影に取り組む。

それは〝フランソワ〟の過去との決別か、それとも自分への慰めか…。
鏡面の中に写し出されたかのように静かに演じる〝リュシー〟は、〝フランソワ〟の願望なのか幻影なのか脚本に込められた想いは過去と現在をリンクさせる。

演じるがままの〝リュシー〟が役に没頭する姿は、徐々に居たたまれなくなる。

映画制作の資金繰りを歪んだ手段を使わざるを得ない〝フランソワ〟の欲望は、演ずる恋人〝リュシー〟をも巻き込み堕落の一途をたどらせる。
それは無意識の中で〝フランソワ〟自身の望んだことなのかもしれない…それが悲劇だとしても。

ロマンティックで有り恐ろしくも有り、各登場人物のココロの変化が揺れ動く姿が面白い。

〝リュシー〟役のジュリア・フォールは透明感ある素朴な美しさで、物語が進むにつれ顔つきの変貌に見入っていまう。

撮影は『勝手にしやがれ』を始めゴダールやトリュフォーなど、ヌーヴェルヴァーグを代表するカメラマン〝ラウール・クタール〟がモノクロの陰影で静かな感情を力強く描写している。

最も印象的で好きなのは映画前半の、初めて〝フランソワ〟と〝リュシー〟が出会うシーン…の直前の〝リュシー〟と友人の2人が何気なく歩いてくる自然体なシーンが何とも素敵で良かったです…(u_u)
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