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タイムマシンのYYamadaのレビュー・感想・評価

タイムマシン(2002年製作の映画)
3.2
【タイム・パラドックス佳作選】

◆パラドックス発生の方法
〈タイム・トラベル〉
 →自ら設計したタイムマシンに搭乗、
 「過去」と「未来」を訪れる。

〈見処〉
①タイムトラベルの金字塔を映画化
・『タイムマシン』は、2002年に製作されたアメリカ映画。「SFの父」H.G.ウェルズが1895年に刊行した小説『タイム・マシン』を原作とし、1959年にアメリカで製作されたSF映画『タイム・マシン 80万年後の世界へ』のリメイク作品。物語には大幅な脚色がされている。
・舞台は1899年のニューヨーク。大学教授のアレクサンダー(ガイ・ピアース)は、事故死した最愛の恋人・エマを取り戻すため、4年の歳月を費やしてタイムマシンを完成させるが、何度時間を遡っても、彼女は別の事故に巻き込まれ、死を防ぐことが出来ない。なぜ過去を変えることが出来ないのか?アレクサンダーは未来にその答えを求め、未来に向かうが、不時着した80万年後の未来には、人類が異種族に進化した世界があった…。

②「一粒で二度美味しい?」作品構成
・本作は、上映時間96分のうち、40分を経過以降は、約80万年先の未来~温厚で牧歌的な生活を送る民族「エロイ」と、野蛮で獰猛な民族「モーロック」が対立している世界が描かれており、前半部: SFもの、後半部:冒険もの、と『フロム・ダスク・ティル・ドーン』並みに作風が途中で大きく変化する。
・批評家からは、特に後半部の評価が凄まじく悪いが、原作には登場しない、未来人
ウーバー・モーロック ( ジェレミー・アイアンズ)を通じて、歴史改変の諾否や、印象的なセリフ「タイムマシーンは誰もが持っている。過去へは記憶が、未来へは夢が連れて行ってくれる」を発せさせるなど、それなりに意味がある作品構成となっている。
・なお、本作の出来に対し、監督を務めた、(原作者H.G.ウェルズの曾孫である)サイモン・ウェルズは、多数の非難を浴びることになったが、実際には、彼は撮影中に体調不調を理由にリタイア。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のゴア・ヴァービンスキーの力量により、公開までこじつけた作品である。

③結び…本作の見処は?
前半40分は「名作」、後半は「迷作」。
○: 公開時には「酷い映画」と思っていたが、再鑑賞してみると、原作にはない恋人の死や未来人ウーバーの存在など、SF映画として成立させようとした努力の跡が感じられる。
○: 未来に移動する特殊効果描写が素晴らしく、タイムパラドックスものの中では、上位に入る。長い歳月をかけ、グランド・キャニオンやデリケートアーチのような景観が出来るシーンは見ごたえあり。
○: 何度トライしても、同じ結末というタイムパラドックス映画はあまりない。
×: 原作に沿った内容にて、致し方ない面もあるが、終盤は『猿の惑星』2作目以降のようなB級臭が激しい。
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