イクル

ソナチネのイクルのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
5.0
まずOP。メロディー、映像、これは違うぞと震える。巧みなメロディーからうまくヤクザの世界へと誘導し、そこで起きる非日常を理解する。
その非日常は経験がないため、理解し難いがそこに、私たちにとっての日常を、会話や風景、画角の隅に、ほんの一筋として写すことで、とても飲み込みやすくなっていた。非対称という影も捉えることで、対象をという光をより鮮明に、立体的に描写する技術がとても良い。
そしてヤクザという、映画においては誰もがライトを当てる花を、一つの要素として演出していたことも良かった。言うなれば、ピラミッドの頂点にヤクザが位置するのではなく、円の中心に位置し、その周りに様々な要素が隣り合ってるイメージ。だから過激な行動やセリフも、全てに意味が付与され、映画という文脈に沿って、独立していないことがいいリズムを生んでいた様に思う。
銃シーンも多々あったが、派手に扱うのではなく、要所要所に、必要な場面に目立たせることで、鑑賞中の慣れを拒んだこと。それにより緊張感を感じ、淡々な日常の刺激として用いられていたこともすごい。
ヤクザの制服、スーツ、柄シャツ、絶妙なユーモア、クレーン、刺青。
本当に最高の映画に出会えた。
イクル

イクル