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ソナチネのmayaのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.9
本当に唯一無二、独特のペースとリズム。
ヤクザ映画といって、こんなものを撮る監督ほかにいないよ...
ヤクザが題材だろうとなんだろうと、「死の衝動とつねにとなりあわせの、この瞬間を生きているというきらめき」が閉じ込められている。そして暴力は日常にぽっと現れる。北野武は常に死の衝動と隣り合わせで生きてきたそうだが、彼のみる世界がそこにあり、私たちは不思議と深く共感する。
あとケンと良二、あれは恋じゃん...と思ってる。北野映画、無駄に女を出さないので、その分同性愛的な関係性がナチュラルにでてきて見ている側は本当に安心する。謎にヘテロ主義、かつその奇妙さに無自覚な監督ほど、女が必要ない場面で女を入れるから...不安になって...。その点さすが戦メリ出身、愛のあり方に形をつけようとする気配が一切ない。
ついでに、矢島健一の鼻筋のうつくしさと大杉漣の品の良い低音で利かせるド下品なドスにずっと悶絶してた。えっっろ、、、

入っているお客さん、男女ともに若年層がたくさんで驚いた。最近の新作映画には全然人が入らなくなってるそうだが、結局配給側がおもってるより人間のリテラシーってずっと高いんじゃん、と思った。映画関係者がどんなに「映画好きじゃなく大衆をとらなきゃ!メガヒットメガヒット!」と言っても、一回2000円じゃ、もう映画好きしか劇場来ないんよ、、、
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