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ソナチネのaynのネタバレレビュー・内容・結末

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ただただ殺し合いが起きる映画かと思っていたが、ヤクザの生き様、笑い、海、何気ない日常が綺麗に入り混じった映画だった。
多くの考察がある最後の死について、村川にとって「ヤクザとして生きることに疲れてしまった」「生きる死ぬがどうでもよくなってしまった」というのは考えられるが、楽しい時間を過ごした周囲の仲間が皆消えてしまったことは大きかったのでは、と思う。暗い幼少期で誰かと子供らしく遊んだことはなく、愛した人もいなかったため、その両方を経験した劇中の沖縄古民家生活は村川にとって「生」を感じさせるものだっただろう。でもそんな「生」も束の間で、すぐに仲間の「死」はやってきて、自分の「死」だっていつ来てもおかしくないことを痛感する。今までだって死とは常に隣り合わせで珍しくないものだったが、「生」を感じたことで「死」を「死」として感じるようになり、「死ぬのを怖がりすぎると死にたくなる」の言葉の通り最後は自死を選んだのではないだろうか。
村川のセリフは決して多くないが、ひとつひとつ伏線のようになっていたのが印象的だ。また数年後に見たいと思わされたし、他の北の作品にも触れたくなった。
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