沖縄を舞台に、繰り広げられるヤクザの抗争。
日本的伝統文化を表現のベースに北野ならではのセンスがスパイスとなり、詩的な映像美が連続する。
中盤は画面上では、ずっと暇つぶしのバカをやってる村川組のヤクザの面々が映し出され、思わずニヤリとするシーンが連なり、やや中弛みするが、常に何か起こりそうな危なげな雰囲気があり、固唾も飲めない緊張感に包まれている。
途中出てくる女は設定自体にやや突飛な部分があるが、村川(ビートたけし)の内包性を巧みに引き出し、物語に奥行きを与える。
終盤、一気にストーリーが進行し、画面中に死の匂いと狂気が充満する。
沖縄の生気に満ちた青と、常に死を身近に置いている村川との対比が鮮やかで、日常の平和と非日常の死への線引きが紙一重である事を淡々と示し出す。
北野作品の中でも、中毒性が高く、対比を巧みに活用した名作。