アランスミシー

地球に落ちて来た男のアランスミシーのレビュー・感想・評価

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)
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2回目、

ネイサン「試練を克服して星へ向かおう」(英国空軍の標語)


旅行者から一転カウチポテトになって行くトミー。地球を出る目的をやがて忘れて行く。


移民として世界中から移住して来たアメリカ国民たち、しかし保守の勢力が増すに連れて変化に疎くなって行く。
そこへ英国(異星)からやって来たトミー(アングロサクソン人)が地球(アメリカ)に新たな観念を齎そうと活動し始める。
しかし地球(アメリカ)の重力の強さからエレベーターや車に乗る度に突如動くモノ(変化)への恐怖心に駆られ狼狽る。
果たしてトミーはその変化への恐怖を乗り越えて最後まで新しさ(リベラル思想)を追求し続けられるか

『羊たちの沈黙』同様、保守(プロテスタンティズム)によるマイノリティ(黒人、女性、LGBT)への不理解
変化を受け入れる心が有れば自ずとLGBTへの理解にも繋がる。
自由を求め草原を疾走するトミーの心の中の白い馬
・汽車が好きだった幼少時代の自分について話すメリールーもまた自由(リベラル的思考)を失った1人

ロッキーホラーショーの主人公が異星人(トランシルバニア人)という設定もおそらくここから来てる。
人知を超えた存在、宇宙人(LGBT)として見られてた歴史。

ハワードヒューズやジョンFケネディの宇宙開発を阻止した保守派


黒人男と白人男(ファーンズワース)
黒人「ご足労ありがとうございます、我々は歩み寄れますか?」
白人「そうは思いません」
黒人「残念です、この件にかなり時間を費やしました」
白人「ワールドエンタープライズは単独行動を好み、いわば先駆者です、我々はやる気に満ちています、率直に言って貴方の提案は妨害行為です」
黒人「考え直される様お願いします、世界は我々の太陽系と同様変わっています、貴方の規模の会社はそれに気付き、持続していく義務がある」
白人「私が見ているのはもっと先です」
黒人「(白人と別れて)難しそうだ」

先駆者=アングロサクソン
単独行動=白人至上主義

テレビ「人々が親密に1箇所に居座るのは問題だ、それで修羅場や涙全てが陰気に、人は生活の拠点をいつも変えて生活するべきだ」
映画「離れる者は明日愛する為に」
ホテルから出る事を促すテレビの声


NYと比較してロサンゼルスは空間つまり自由と変化と給料と
18歳の少女たちのケツを追い回してたネイサンの自由だった心もやがてワールドエンタープライズという資本主義の象徴に囚われて行き、金と権力の亡者に変化して行く。


メリールーとの同棲生活の時間経過が一切描かれてないのでメリールーとの突然の関係性の変化にビビる。万人にウケるはずがないこの演出がニコラスローグの真骨頂だなって思う。
ドラッグなしにこんな演出できる?

ネイサンの盗聴器仕掛けはウォーターゲート事件の暗喩→リベラルを疑う保守派の行動


1回目、
彼はスターマン。
ジョン・カーペンターのスターマンは思い出の一本。
この映画には同じ匂いを感じる。

ニコラス・ローグはボウイと同じ星から来たに違いない。
観察の仕方が人と違う。

奇跡の2人が遭遇してできた産物。
ボウイはこの撮影ですでに故郷を感じていたのかもしれない。
そして大いに満足したに違いない