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地球に落ちて来た男のikustatinoのレビュー・感想・評価

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)
2.4
決して面白いとは言えないです…残念ながら…。でも理屈じゃない、哀愁と喜びがある作品でした。時代を経てそうなってしまった稀有な作品といえるかも。

作品自体はアメリカンニューシネマの雰囲気が色濃くて、不条理で難解なカット割りやインサートを多分に使って"現代社会の光と影"的な物を表現したかったんだろうなぁ…といった感じの作品です。
そこらへんの作品のアプローチや監督の精神性みたいなものに対してはちょっと個人的な趣向としてコメントしずらいな…といった感じです。
十代とかに見ると或いはとても感化されるかもなぁと思います。

ただ内容のあれこれはさて置いて、この物語の主役にして孤高の天才デヴィット・ボウイが画面で動いている…やっぱりそれだけでファンとしては堪らなく嬉しくなってしまうし、目頭が熱くなりました。
僕がどれ程彼の音楽に感化され、1月10日にボロボロ情けなく男泣きしたかは話が逸れるのでいたしませんが…。
名実共に最高潮、その後ベルリン三部作を作るに至る前夜の彼の画面から匂い立つような妖艶さを感じる事ができるだけでもこの映画には見る価値が僕にはありました。

というのも「戦場のメリークリスマス」の影に隠れて忘れられがちなこの作品、正直彼の生前の扱いはB級カルトムービーといった感じで…CDアルバム聴いたりするぐらいじゃ満足出来ない人が見るぐらいの扱いをされていたのが正直な所だったと思います。
僕もその昔STUDIO VOISEかなんかの雑誌の「観るべきカルトムービー50選」みたいな特集でこの作品を知ってなんじゃこりゃ…って思った記憶があります。

今回Blu-ray版が安売りしてるのを偶然見つけ、それがコレクターズアイテムに出来るようなカッコいいジャケットだったもんでついつい買ってしまったんですよ実は。そしておっかなびっくりで鑑賞したというのが正直な所で…。
それでも理屈を超えた説得力がある彼の存在感、そして理屈じゃない部分で彼を大好きなんだという感情を再確認できた事が最大の収穫だったように思います。

しかし映画内で共演するどの女性よりも綺麗って…なんか凄いですよね…。本当もうこの先こんな人2度と現れない気がします。
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