影、影、影。
物悲しさが強い、まさしく、哀愁の物語。
15分の短編、28回のカット。実験映画の名を冠す通り、最後まで奇妙な映画でした。
寂しさの中にエロスを感じさせるような、憎しみのような愛を感じさせます。
神秘的な影の映像……かと思いきや、なんと壁に描かれた絵であったり。
少女から始まり、話は男女の愛と別れへ。
男の態度から愛を感じられず、どこか寂しげな表情の女。
壁には絡み合う二人の濃密な愛の営みが映されている。しかし、同じベッドにいながらも、どこか距離を感じる現実。
影の動きや描かれた影に合わせて動かぬ人を撮るため、固定ショットの長回しで撮影されています。
そこに最後のカメラの引き。これは驚きました。あんな終わり方をするとは。
机に突っ伏す男、その切り離された影。
男の影が残る机、そこで編物をする女。
男の影と女の影、2つが混じり合う机。
女の愛の行方は。男の去った後には何が残るのか。
哀愁と情愛を感じる短編でした。