時は1990年のバブル時代。当時はウルトラシリーズの新作企画が何度も発表されてはポシャッていた。
本作も特撮オタクたちは「どーせまたムリだろ」と思っていたら・・・・・公開されちゃったよ!
しかも監督:実相寺昭雄、脚本:佐々木守! 『ウルトラマン』で「故郷は地球」(ジャミラ)、「空の贈り物」(スカイドン)、「怪獣墓場」(シーボーズ)などなど、異色の傑作を連発した名コンビだ。
ちなみに万城目淳役の柴俊夫はTV特撮ドラマ『シルバー仮面』(こちらも1、2話は実相寺、佐々木コンビ)の主演でもある。
これは期待しない方がどうかしている。
特オタたちは胸を躍らせて劇場に足を運んだ。
・・・・・つまらなかった!
ひたすらダラダラして退屈・・・・・・!
怪獣は終盤にちょっと出てくる程度・・・・・!
これ、脚本段階で誰も口を挟まなかったの?(そう言えば、本作の元となった、佐々木の没脚本『ウルトラマン怪獣聖書』もつまらなかった)
実相寺、佐々木でこれはないだろう!
ああ、そうか・・・・『ウルトラQ』というより、実相寺、佐々木の『怪奇大作戦』を106分にするとこんな感じなのかな・・・・。短かかったけど怪獣ナギラの暴れる特撮パートは良かったな・・・・・。ナレーターはTV版と同じ石坂浩二だし、キャストも豪華だったし・・・・・。
などなど、必死にいいところ探しをした。なんとか傑作とはいかないまでも佳作に認定したかった。
・・・・・でも、つまらないものはつまらなかった!
wikiによると、本作は当初、監督:金子修介、脚本:伊藤和典、じんのひろあきらによる、ガラモンやカネゴンなどを登場させる3話の短編オムニバス形式だったそうだが、まさにそうすべきであった。やはり『ウルトラQ』は30分の短編ドラマであり、106分の長編向きじゃないのだ。
本作は、かつての名スタッフが再びウルトラシリーズを撮っても必ずしも面白い物が出来るとは限らない、と言うことを思い知らせてくれた1本だった。
考えてみれば実相寺昭雄監督の劇場映画はいずれも「面白いか?」と問われると、個人的には答えに窮する物ばかりである。
俺にとって実相寺昭雄監督はTVの『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、『怪奇大作戦』、『シルバー仮面』こそ傑作なのだ。