三隅炎雄

夜の歌謡シリーズ 伊勢佐木町ブルースの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

3.8
水商売開店にホステスやら何やら調達するオープン屋梅宮辰夫、雇われママ宮園純子、金主の土地成金伴淳三郎ら夜の人間模様を描く。仕事と割り切って女ともドライに徹するピカレスクな魅力、というふうには全くいかないみみっちい梅宮がいい。
梅宮が仕事を忘れて入れ込む宮園の元愛人がヤクザの吉田輝雄。この吉田が潰れた組の代わりに宮園に寄生するというこれまた梅宮に劣らぬ薄汚いダニで、この二人が女をめぐってチンケなドスを抜く。鶴田や高倉の任侠物と正反対のさまにならぬ、しみったれた対決が生々しい。

梅宮に搾取されとことん利用され尽くすホステスに清水まゆみ。村山監督とは初顔合わせだろうか。ここでの演技が気に入られたのか、清水はこの後村山の『キイハンター』第163話「南の海を渡る殺人部隊」で主演、男たちの世界に反逆するヒロインを鮮烈に演じ、清水主演の政治三部作へと発展していく。
三隅炎雄

三隅炎雄