三樹夫

幽★遊★白書 冥界死闘篇 炎の絆の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.1
1本の映画として作られた、ターゲットの対象年齢が引き上げられて以降の『幽☆遊☆白書』の劇場版だが、アクション作画が良いがストーリーはいかにも漫画映画的で演出も漫画映画的な演出がある。
話は三途の川が氾濫して冥界のボスと戦うことになるというもの。ゲストキャラの美少女がいたり、桑原、蔵馬、飛影の戦闘用に冥界のボスの配下が丁度3人いたり、5つの鬼門を封印するという展開などTHE漫画映画というストーリーになっている。ただ鬼門がどうのこうのというのは早々と無くなり、後はそれぞれのキャラのバトルとなる。演出も漫画映画っぽいところがあり、最終決戦への決意を固めるシーンが4人全員分羅列され、最終決戦に赴くのに1人また1人と合流してくる『必殺仕事人』みたいな集合の仕方して、最後は『Gメン』みたいに横一列になる。最終決戦の決着のつけ方も元気玉みたいな感じだし、それぞれの固有の技の合体になるなど、あぁ漫画映画だなと思う。
一方でアクション作画は良く、アクション時にはわざと崩した作画になって躍動感が出ているし、アクションの分量も多い。また金田伊功を召喚しており、どこが金田作画か一発で分かる。「残り僅かな霊力、無駄にせんほうがいいぞ」から霊丸までのアクションは金田作画だが、独特のパース、ジャンプするときの変なポーズというか常時変なポーズにやたら足をバタバタするTHE金田作画で、足を折り曲げる特徴的なポーズで飛ぶことや足をバタバタさせることで躍動感が出るし、変なポーズの原画から変なポーズの原画への中割りの少ない作画なので作画負担も抑えられる。私のベスト金田作画は『ラッキーマン』のOPで、変なポーズに狂ったパース、これでもかと足をバタつかせる金田作画濃度の高いOPだ。
冨樫義博がオリジナルキャラクターのデザインを手がけており、また原作からの引用も多い。なぜか飛影の黒歴史が引っ張り出されるが、やっぱあれは失敗よね。ダッセェもん。元々仲間になる予定じゃなかったのが担当のアドバイスで仲間になり人気キャラになったが、「初めっから飛影を仲間にするつもりで考えてたらあんなたくさん目玉つけてないですよ。どう見てもあれって地雷じゃないですか?」と冨樫義博は語る。
この映画は蔵馬のセミヌードというサービスカットがある。水浴びをするが、包帯を巻いてバストはNGというやたらガードが堅い。サービスカットが蔵馬のセミヌードというので、女子人気の漫画およびアニメなんだなというのが分かる。『幽☆遊☆白書』は美少女キャラは結構出てくるが、冨樫義博が何の興味もないのが伝わるし。ちなみに『幽☆遊☆白書』で一番嫌いなキャラは螢子とのこと。蔵馬だったり飛影だったりの女子人気高いキャラが作品を引っ張っている。

『幽☆遊☆白書』のアニメは、最初はターゲットの対象年齢が低く始まったが後に中学生ぐらいの少年少女がターゲットと、対象年齢が引き上げられた。この映画は対象年齢が引き上げられて以降の作品で、冒頭、幽助と桑原は緑と青の制服を着ているが、前作の劇場版とは違い抑えた色合いの緑と青になっていることからも分かる。
対象年齢が引き上げられた理由には、アニメ放送したら中学生以上のファンが多いことを制作者が気付いたというのもあるだろうし、何より原作が特に仙水編以降がダークでどことなく中二病を刺激するものであり、中学生以上の中二心を刺激して興味を引いてくる。
『幽☆遊☆白書』のキーワードとしては中二病というのがあると思う。中二病が刺激されるような、程よいダークさとグロさを提供してくる。冨樫義博作品の人気の一端には、中二病が刺激するような程よいダークさとグロさがあるように思われる。私は中二病マンなので当然中学生で『幽☆遊☆白書』にハマり躯が好きだったし戸愚呂弟の模写もしていたし、大学生時には、仙水編はもう連載を続けたくない冨樫義博の心情そのものなんだよ、仙水は冨樫義博なんだよと周りに言って気がついたら友達が一人もいなくなっていた。
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