このレビューはネタバレを含みます
結果的には夢か、夢じゃなくても別に事が起こる前と後とで状況は変わっていないんだけど
この作品に出会えて良かったと思ったし、この先の人生で何回か見るだろうなと思う作品になった。見るタイミングによって自分の人生の状況が変わっていれば、その都度で思うことが違ってくるだろうなと。
謎が残る作品だったので考察も読んだ
倦怠期の夫婦って表現が多かったけど、別にレスっていう訳でもなく、ニコールは夫に嫉妬してるし、そこまで悪い状況ではない様な
結婚して子供もある程度大きくなって、お互いの恥ずかしいところも見せ合える関係ってところかな。そうなってくると日本ではレスが問題になってくるけど、外国は日本よりもレスは少ないと言うし、実際に作中のトムとニコールもイチャラブしてるから男女の関係がなくなるってほどのレベルでもない。
あるパーティーに招待され、会場でお互いにナンパされるニコールとトム。トムがモデルの女の子達にデレデレしているのを見て嫉妬するニコール。ニコールも紳士にナンパされるけど夫もいるから〜って結局、誘いを断っちゃう。
そうこうしているうちに主催者から呼び出しくらったトムが向かった先にはラリった商売女がいる。トムは医者なので女の様子を見る。特に問題なさそうだったので主催者に経過観察して家へ返す様に言う。女には更生しろと言う。
数日後、葉っぱを吸ってるニコールの所にトムがイチャラブしに来てパーティーの話題になる。
嫉妬してたニコールはトムにあんな長い時間いなくなってモデルと何かしてたんじゃないの？と聞くがトムは主催者に呼ばれただけで何もないよと言う。
今度はトムがニコールに君も紳士にナンパされてただろ、彼の目的は何だったんだ？と聞く。ニコールは二階でsexしようと言われたと返すが、それに対してトムは嫉妬するでもなく「気持ちはわかるよ、君は美しいから」と返す。
それに急にブチ切れニコール。気持ちがわかる？！じゃぁ、あたなは美しい女だったら誰とでもsexしたいと思うの？！私には嫉妬しないの？！と聞く。トムは別に綺麗な子を見てもsexしたいなんて考えないし、君のことは妻だから嫉妬しないし信用していると言う。
するとニコールは急に笑い出す
ここのラリった状態で笑いまくるニコールを映してる時にカメラも大きく揺れるんだけど、それがニコールの狂ってる様子を更に不気味にし、これからニコールの発言でトムの信頼を打ち砕く、今まで信じてた世界が揺るぎ出す前兆を表している様で何とも言えないからぜひ感じて欲しい！
ひたすら笑いまくった後でニコールが前に旅行に行った時、一瞬だけ目が合った海軍士官に心奪われて動けなくなるほどの衝撃が走った。彼が自分を欲するなら、それがたとえ一夜だろうと自分の全てを捨ててでもいいと思ったほどだった。
と同時に何故かその時、不思議とトムのことが一番愛しいと感じたが、トムの事を愛しながら胸が痛んでその日の夜はほとんど眠れなかった。次の日、海軍兵士は居なくなっていてその事実に私は安堵したと告白した。この話しているニコールと話を聞いている時のトムの表情がまたなんとも言えずにリアルで素晴らしい。
映画の中で一番素晴らしいシーンだと思う。
なんて凄いシーンなんだと思ったらこの時の2人は実際に夫婦関係にあったと聞いて納得した。
ニコールにあなたの本性を知りたいのよ！と言われ、ニコールの本性を垣間見てショックを受けたトム。ここで急に患者が亡くなったとの電話で患者の家に向かいます。患者の家に着いて一通りの会話を終えると、患者の娘から突然キスされ愛の告白を受けます。娘っつってもおばさんで、彼氏ともうすぐ結婚するそうです。
なのにその娘さんと来たらトムのことを愛している。この先トムと一生会えなくてもトムの側で暮らしたいと言います。そこに彼氏が登場。トムは患者の家を後にします。
このシーンもニコールの告白を聞いた後に、それを裏打ちするシーンとしてよく描かれてます。今まで医者と患者の娘としか接しておらず、お互い良く知りもしないのにその娘は近々結婚の約束までしている彼氏がいながらトムを愛していると言うのです。
患者の家からの帰り道、ニコールと海軍士官がイチャつく妄想がトムの頭から離れません。
そこにまた誘惑が。
タクシー待ちしてるトムに娼婦が話しかけて来ます。なんとなく娼婦の家までついて行き、ぎこちないながらもさぁ、今から始めようか！というタイミングでニコールから電話がかかって来ます。これでトムは現実に戻され、娼婦に代金だけ払って今度は友達がピアニストとして働いているバーへ行きます。
この友達は一番最初にトムとニコールが行ったパーティーで偶然出会ったトムの医学学校の同級生です。一仕事終えた友達と飲みながら互いの近況を話していると、友達が場所も分からず目隠しして演奏をするという怪しげな集会の仕事の話をし始め、今夜もその仕事があると言います。トムは冗談だと疑っていましたが、そこにちょうど今夜の集会場所と秘密の合言葉を知らせる電話がかかって来ます。
長くなりすぎて疲れて来たな
でもほとんど重要だから端折るところがなさ過ぎて！けどあらすじ入れちゃうともっと長くなるから先にまとめを。続きはまた映画見た時にでも書こう(笑)
まとめ
①家の中がごちゃごちゃしすぎ
トムはニューヨークの開業医って事でリッチな生活しているかと思いきや案外そうでも無いっぽい。というかリッチかも知れないけどリビングだの洗面所だの家中が嫌にごちゃごちゃしてて物凄い生活感がある。この辺りが夢と現実の境界をハッキリさせるために必要なのかなと。欲望の世界は華やかないパーティーとか怪しげな集会やめくるめく美女がいるけど、現実には散らかった家と美しいけど女を捨てたラフな格好のニコールという対比になってると思った。
②患者の娘
患者の娘はあれから2度と出てこないけど、ニコールの告白を裏打ちするために描かれたシーンであることは間違いない。現にあれからニコールと海軍士官がイチャつく妄想が度々出て来て、トムの頭の中に今までなかった「もしかしたら」という妻への疑念をより強調することになった存在だ。あのおばさんがどうしたかは映画では描かれてないけど、私は彼氏と結婚したと思う。好きでもない男と結婚して別な男を思い続けるのは世の中よくある話だから。逆に彼氏と別れてトムを思い続けたと思うという人もいると思うけど、だとしたらめちゃくちゃロマンチックな人だな。
③トムの手袋
映画見てる時には全く気づかなかったが、トムがはめてる手袋に注目すると面白いらしい。
映画の原作があるそうだが、その原作が夢小説という名前だそうだ。つまり最悪これが夢オチって可能性もあるらしい。しかもこの原作者がトムと同じで医者だったっていうところもなんとも言えないよね！っていう。で、手袋の話だけど。ある人の考察ではトムが手袋をはめているときは夢で外している時が現実。って言ってる人がいた。そこまでは私もまだ詳しく見てないけど気になる人は是非考察して感想を教えて欲しい。また、ニコールの役名がアリスというのも不思議の国のアリスをオマージュしているのではないかということらしい。
③貸衣装屋の娘
貸衣装屋の娘もすごく不思議だったが。途中でもしかしたらこの子もあの怪しげな集会に行ってる？と勘ぐったくらいだ。まぁ、行ってなかったとしても最後の貸衣装の会計シーン！
無言の笑顔でトムを見つめる可愛い瞳の奥に男が計り知れない女の部分が表されてる気がする。またこれが若い女の子ってところがミソだよね。こんなに見た目が可愛らしい、まだ10代の女の子でも性に目覚めて男を誘惑して、トムにあなたが知らないこと私は知ってるよって顔で笑いかけてくる。そう考えるとニコールとトムの子供が娘って言うのもなんか意図してる気がする。
④長い
2:40の映画だから長いのは長いんだけど。そうじゃなくて、トムの大冒険の一連の出来事がたった2-3日の出来事として描かれたにしてはあまりにも長く、重厚に感じるということ。この映画監督のリテイクの多さは有名で、この映画の撮影期間が最長でギネスブックに登録されたらしいが、その年月の長さが映画の重厚さに繋がっているのか？！もしくは映画の中で私も夢と現実の狭間を行ったり来たりさせられたせいで時間の感覚がおかしくなってしまったのか。だとしたらとんでもない映画だわ。恐ろしい。
⑤ファック
全てをニコールに告白した後、デパートでクリスマスの買い物中にトムがニコールに「この後、僕たちどうしよう？」って聞くんだけど、ニコールはどうしようって言われても分からないわ。とりあえず、この一連の出来事が夢であれ何であれ今、私たちは目覚めてる。あなたの事を愛してる。だからすぐに大事なことをしなきゃ。ファックよ。と言う。
この映画ねー、トム目線で話は進んでいくんですけど大事なところは全てニコールの返答なんですよー。
私的にはですよ
この後僕たちどうしようって言われても、別に何も自分たちの状況は変わってない。世の中には知らないことが沢山あるってことに気がついただけだし、知ったところでどうすることもできない事もある。そんなことよりも現実しっかり見て、ご飯食べてクソしてsexして寝る。人間としての営みを当たり前の様にしていくしかないってことなのかな。
