キューブリック監督の遺作でありいろいろいわくのある作品。暗殺説まであるんですね。
月並みですが、映画としての作り込みがとにかく凄い。スクリーンの内側にさらに一回り小さくフレームがあるかのような徹底した箱庭感。比較的日常を描いた設定にも関わらず、フィクショナルな非現実感はいっそう際立って感じます。
緻密に仕込まれた多くの謎は解決のカタルシスを得るものではなく、謎としておいしく咀嚼する術を持たないと肩すかしをくらって終わります。
人間のいやらしさを丁寧に純粋に抽出したエンターテイメント。
全然これで最後の作品じゃない。願わくばまだまだ新作を楽しみたかったものです。