明石です

小森生活向上クラブの明石ですのレビュー・感想・評価

小森生活向上クラブ(2008年製作の映画)
4.5
免許停止ならぬ一発死刑確定だな!ハハ。by古田新太

部下にも家族にも舐められっぱなしの冴えない中年サラリーンが、痴漢冤罪をかけられてブチ切れ。冤罪女を電車のホームに突き落とす、、という夢を見る。それを機に人が変わり、銃を手に入れて日々の鬱憤を爆発させるべく世直し。街の無法者を始末していく話。

キレたサラリーマンが滅茶苦茶に暴走するという、マイケル・ダグラスの『フォーリング・ダウン』みたいな設定の作品ですが、実際は、銃をぶっ放し人を殺して回る「掃除屋」が街の英雄として称えられる『タクシードライバー』のオマージュでした。もはやジャケット詐欺とも言えそうなかなり血生臭い映画。好き。

もちろん表向きはコメディ調。全体的にドラマみたいなゆるい質感で、映画っぽくないと言えば映画っぽくない。よく言えば実験的な作風、悪く言えば個性のゴリ押しですかね笑。まあ話の構成自体も1話完結×4話といった感じなので、ドラマ感覚で見るのが無難そう。

狂気に目覚めた小森課長(古田新太)が、銃を片手に世直ししていくタクシードライバー的展は中盤まで。中盤以降は、課長に感化された部下たちが殺人クラブを作ってしまい、会議によって誰を殺すか決めていくというサイコ展開に(その殺人クラブの名前が「小森生活向上クラブ」)。終盤は、サイコパスな部下たちに押されて殺人マシーンと化してしまう小森課長笑。

この映画、俳優さんの顔をおでこの上から写したり、時間を止めて主人公だけを動かしたり、スローモーションを多用したりと、カメラアングルやら編集の仕方やらが特徴的ですね。効果的に機能してるかは謎ですが、前衛的な作風はけっこう好み。あとこれは狙ってやってることだとは思うけど、コミカルすぎるBGMがところどころ場面にミスマッチだったのは否めない。画面内で起こってることと流れてる楽曲の雰囲気が合ってなくて、置いてけぼり食らっちゃった。せめて殺人のシーンはシリアスな音楽を挿れて欲しかった。。

古田新太の部下役は世界三大美女の一人栗山千明。ズレ眼鏡にセンター分けのひっつめ髪と、ちょっとダサめの新卒社会人みたいなルックスでご登場。当然お美しい。若い頃の栗山千明は、大杉漣しかり古田新太しかり、ひとまわり年上の個性派俳優に振り回される役が似合ってると思う。お顔は特徴的な美しさだけど、中身はストレートな栗山嬢が本作でも素晴らしいスパイスになってました。まあそれも前半までですが。

中盤以降の彼女は、まさかのサイコパスキャラがむきだし。振り回され系部下かと思いきや、実は上司を振り回す系ワイルド部下。ホテルで上半身裸(背中だけ)になるシーンがありましたが、こういう妖艶な美女の役の千明様も大好き奥二重でキリッと目が細くて、なおかつエラが張ってた頃の彼女は、古代ローマの彫刻みたいに綺麗でした。絶世の美女なのはもちろん、この人にしか出し得ない魅力があったもの。「たとえ何人の男と関係を持っても、不倫だけはしない主義です」「人は殺しても不倫はしません」は後世に語り継ぎたい名言。額縁に飾っても良し。このお方、至極真面目な顔して面白いこと言うから笑っちゃう。

もう1人の後輩(こちらの方が若干出番多め)は爽やかイケメンの忍成修吾。拳銃ぶっ放して世直しする小森課長に惚れ込み、彼の忠実な部下になった男。阿呆すぎてニコニコ顔で人を殺し、そして妖艶な栗山嬢のハニートラップに引っ掛かり殺人の証拠をすべて喋ってしまうお馬鹿殺人犯(私も栗山嬢にハニートラップかけられて情報吐かされたい、というのは全く関係ない話)。忍成さん、栗山千明と同じく『バトロワ』で出世した俳優さんでしたね、いつまでも応援してます。

また要所要所でモヒカン頭にグラサン&ミリタリージャケットのトラビスもどきが出てきたり、ブヨブヨボディの古田新太が鏡に向かって”You’re talking to me?”と語りかけるシーンがあったりと、『タクシードライバー』へのオマージュがけっこう気合入ってる本作。オマージュのクオリティが高いかどうかはともかく、こうも意識してるとニヤニヤしちゃう。タクシードライバーのファンにウケるかはわからないけど笑。

小学生の娘がいる家で、奥さんと猛獣みたいなセッ○スする古田新太は最高!部下をハニートラップにかける妖艶な栗山千明も最高!!文句なしの高評価です。
明石です

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