つおし

ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦のつおしのレビュー・感想・評価

5.0
久々といっても大学生になってからも何度も見てるんですけれども、アカウントを新しくしてから見てなかったので、改めて。
何度見ても泣ける。あの頃観た感覚と今を想って。
ちょうどこれを劇場で観た幼き頃、主役の濱田岳くんとまったく同じ境遇で、小学生にもなってウルトラマンへの憧れが冷めず、友達からも親からも馬鹿にされている。
しかしこの年齢だからウルトラの世界が現実でないことも認識している。
複雑なお年頃とはまさにこのこと…
かといっても僕は休み時間にひとりで誰もいない非常階段で空想した怪獣と戦うという少し早めの厨二病を引き起こしていたほどの気持ち悪い少年期にあったわけなんですが。
作り手は確実にあの頃の僕のような層へ向けてこれを作っている。
今思えばよくこんな層がいること理解していたもんだ。
パラレルワールドといっても
ウルトラマンが文化的アイコンとなった僕らのいる世界と、ウルトラマンのいる世界を扱ったメタ構造で必然性がある。
なによりこれは、憧れを馬鹿にされるあの頃の僕のような少年たちを勇気付けた。
これを大人になった僕らに観せてくれたのが『超ウルトラ8兄弟』なんでしょう。これも主要なウルトラマンはこの3人だし。
そして尚且つ教訓をいくつも散りばめることでそんな少年たちに喝も入れてくれる。
ガムが警察に包囲されるシーンでは、人と人とは必ず分かり合えるということ。それを裏立てするように敵対する悪童たちの大親分は、怪獣オタク丸出しの台詞を早い段階で口にする。
この大親分、近年の代表的なピンク映画若手男優、津田篤さんに似ていてそれもウィークポイント。
これは物語総じて言えますが、あきらめないということ。
自分が始めたことにより招いた悪童たちの暴走を止めたいけどその勇気が持てずにいる場面では、責任ということを教えてくれる。
それらすべて、勇気を持つんだと言ってくれている。

親分は怪獣とか何かしらの造形デザインのプロになっていたら嬉しいな。
しかしこの怪獣オタク親分がいなければ、というか怪獣がいないとウルトラマンは存在意義がないからウルトラマンは観れないんですからね。
この人あっての映画。
いじめっ子というか単なる近親憎悪。

そしてクライマックスの三代怪獣対ガイア&ティガ&ダイナ。
この見せ方がおもしろかったのは、3人それぞれが戦闘シーンを移して差別化したとともに、その舞台がそれぞれ最終回で戦った場所。
つまり、ティガは海。ダイナは宇宙。ガイアは街。
これでそれぞれのキャラ立ても行えている。
玉のくだりはちょっとサラッとしているんだけど。
しかし玉=女の子。人は欲望に恋をする。だが未来を守るためにそれを捨てなければならないということを選択する濱田岳。利己的に転じる成長を見せる。
最後の後日談がおもしろいのもこの映画の見所!
親との朝の会話があるだが、ウルトラマン卒業か、それと同等の成長を親との絡みで
見せるかと思いきや、濱田岳の台詞は
「ウルトラマンも好きだけど、お母さんも好きだよ!」
俺やん!ウルトラマンもお母さんも好きなマザコン根暗オタク野郎やん!
ええ。不毛ですねぇ。
加えて学校に行くと転校生として返り咲くヒロイン。
これはいくら捨ててもまた新たな欲望が生まれるということか…
世の中辛いことばかり。明日も頑張りましょう。
田代まさしに注目。
つおし

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