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麗しのサブリナのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

麗しのサブリナ(1954年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1954年公開作品。劇中でオードリー・ヘプバーン演じるサブリナが穿いている七分丈のパンツは「サブリナパンツ」、前髪パッツンのショートカットヘアは「サブリナカット」と呼ばれ、ともに大流行した。

その、押しも押されもせぬオードリーの代表作のひとつを初鑑賞。

大富豪一家・ララビー家に雇われている運転手の娘・サブリナは、富豪の次男・デイビッドにずっと恋をしている。しかし、全く相手にされず、自殺まで試みる。娘を不憫に思った父親は、サブリナをニューヨークから遠ざけ、パリの料理学校に通わせる。
2年後、サブリナはすっかり垢抜けて戻ってきた。女好きのデイビッドは、サブリナと気付かずナンパ。2年前とは状況が逆転し、サブリナに求婚するまでになる。
しかしデイビッドは、事業を運営している父と兄の意向によって、大手銀行の頭取令嬢との政略結婚がセッティングされていた——。
と、一見王道のラブストーリーと思わせておいて一転、仕事一筋だった兄・ライナスまでサブリナに惹かれてしまうことから始まる、ララビー家の大騒動物語。

オードリーの存在感、華、モデルとしての素質、美しさだけでいえば4.5で文句なしで神。ただ、映画としては厳しかった。

事業に関心がないプレイボーイのデイビッドに片想いし、玉の輿“デイビッド夫人”を夢見るサブリナ。しかし現実はそれほど甘くなく、ララビー家の車数台のエンジンをふかし、一酸化炭素中毒で自殺を試みる。だが、ちょっと煙くなっただけで、車庫の窓を開けてしまうサブリナ。

ここまでの展開で誰にも共感できなくて、サブリナに至っては「うわー、頭悪い」と引いてしまい、観るのをやめそうになる。オードリーは演技力がないから、自殺未遂が狂言に見えて、自意識過剰で傍迷惑なヒトに見えてしまう。これでアカデミー主演女優賞ノミネートはちょっと信じられない。

キャラクター設定もサブリナ、デイビッド、ライナスの3人とも行動に一貫性がなく、信用ができない。
落とし所は「お金よりも愛が大事」のはずだけど、いやいや、◯◯◯◯◯でよくない? ◯◯のほうが誠実じゃない? てゆうか◯◯放り出すの?と思う。◯◯◯◯◯も鈍感なので、観ててそれほど楽しくないけど。

ただ、料理教室のシーン、シャンパングラス、プラスチック、傘の使い方、ボートで聴く変な歌はすごくよい。ビリー・ワイルダーの作品だなあと思い出させてくれる。

あと、1950年公開『サンセット大通り』でアカデミー主演男優賞ノミネート、本作の前年に公開された『第十七捕虜収容所』で同賞を受賞したウィリアム・ホールデンが、チャラ男のデイビッドを演じていて、その様変わりっぷりはすごい。

後年公開の『暗くなるまで待って』がすごく良かっただけに、このオードリー、この脚本は本当に残念。

・情婦
・アパートの鍵貸します
・お熱いのがお好き
・サンセット大通り
・7年目の浮気
・あなただけ今晩は
・深夜の告白
・お熱い夜をあなたに
・ねえ!キスしてよ
・第十七捕虜収容所
・麗しのサブリナ
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