April01

麗しのサブリナのApril01のレビュー・感想・評価

麗しのサブリナ(1954年製作の映画)
3.8
オードリー・ヘップバーンの可憐な美しさが際立つ。ジバンシーのファッションも彼女にしかこの着こなしは出来ないだろうというくらい輝いている。
ファッション用語にもなっているサブリナ・パンツを着用した場面は、気持ちのアップダウンが激しいシーンで、女性らしい柔らかさと、全てを悟って決意して部屋を後にする強さという心情にピッタリだと思う。
女性のしなやかな柔らかさと、身軽に動けるアクティブな強さを服で表現していて、デザインにおける教科書といってもいいくらい黒コーデが素晴らし過ぎる。

全てにおいて、リメイクは本作に及ばないというのが基本の感想だけれど、唯一ハンフリー・ボガードはオジサンすぎて、恋愛モノとしては、リメイクのハリソン・フォードの方の方が良いかな。それは個人の好みなので仕方ない。
ただし堅物で仕事一筋で曲者という、表裏のあるやり手としてのボガードの演技は素晴らしく、得体のしれない不気味な魅力を醸し出している点は、さすがという感じ。

フランスの描写を料理教室と室内から眺める夜景という限られたシーンで、パリの魅力を伝えているのも素晴らしい。
フランス語で何度か口ずさむ「ラ・ヴィ・アン・ローズ」もパリの雰囲気を小粋に伝えるエッセンスになっている。
気の効いたセリフが多く、ラストのお洒落なエンディングなど、ビリー・ワイルダーならではの巧みな遊び心が全編を通して感じられ、結果としてヘップバーンの魅力を存分に引き出している素敵な作品。
April01

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