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バイオハザードのcamusonのレビュー・感想・評価

バイオハザード(2002年製作の映画)
4.0
中学、高校、大学とファミコン類を完全にスルーした私が、
ゲーム専用ハードを買ったのは社会人になってからで、
そのきっかけが「バイオハザード」だったりする。

さて、映画はゲームとはまったくの別物。

下手に原作と同じ土俵でやっていたら、
駄作になっていたかな。
ゲームでのインタラクティブな臨場感を
一度味わってしまった者からすれば、
映画化(一方向二次元化)は
体感の次元が一つ後退するようなもの。
原作のカット集になりかねない。

それは作者も心得ているようで、
原作を彷彿とさせる部分を残しつつも、
原作とは別に映画として楽しめる作品に仕上がっている。

まず、作品の持つ空気が対照的。
原作では闇の深さ、空気の重さに息苦しささえ感じるが、
映画は近未来的な地下研究施設が舞台で、
人工的で均質な光に覆われた生活臭ゼロの空間は
空気そのものを感じさせない。

原作では新たな空間に歩を進めるとき、
扉の開閉音が静寂の中に鳴り響く。
時間にして5秒くらいだろうか。
その間、まだ見ぬ扉の向こう側に対するおののきが増大し、
否が応でも心拍数が高まっていく。
恐怖の演出としては秀逸であった。
これに対して映画でのホラーの比重はあまり大きくない。
原作との勝負をあえて避けたのかもしれない。

原作にはない映画オリジナルのシナリオとして、
人工知能を擁したメインコンピュータが
人間の制御下から離れ、
人間世界を制御するというコンセプトが持ち込まれている。
これにより、
人工知能視点というちょっと面白い視点が取り入れられ、
更に特殊部隊のマッピングシステムの視点が加わり、
そこにCG映像をふんだんに盛り込むことで
表現が多面的になり、見る者を楽しませてくれる。

映画の中には原作を思い出させるような要素が
いくつか散りばめられている。
それは、洋館のインテリアであったり、
地下列車であったり、黒と黄色の縞であったり、
主人公の失われた記憶として何回かフラッシュバックする
彫像であったり。
ただ原作とのリンクがはっきり感じられたのは
ラストの車で埋め尽くされた街を俯瞰するシーンくらいか。
最後にとってつけたような感もあるが、
次作を期待させる効果あり。
というか、これで次作がなければ成り立つまい。
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